光回線が部屋によって遅い原因は「距離」?住宅構造・Wi-Fiの周波数・測定方法を現役通信工事士が徹底解説

豆知識

「光回線のWi-Fiにしたのに、2階の部屋だけ遅い」「リビングは速いのに、寝室だと動画が止まる」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。

実は、その原因の多くは光回線のWi-Fiそのものではなく、Wi-Fiルーターからの距離と、家の壁や床です。

この記事では、累計1万件以上の現場を経験してきた通信工事士の目線から、住宅の構造による違い、Wi-Fiの周波数の違い、正しい速度の測り方、そして改善方法までを分かりやすく解説していきます。

要点まとめ

✅光ファイバーの距離:電柱や通信局舎(NTTなどの通信設備がある建物)から自宅までの距離では、速度はほとんど落ちない
✅家の中の距離:Wi-Fiルーターから離れるほど、壁や床を通るほど電波が弱くなり、速度が落ちる
✅住宅の構造:木造は電波が届きやすく、土壁・鉄骨・鉄筋コンクリートは届きにくい
✅Wi-Fiの周波数:2.4GHzは遠くまで届く、5GHzは速い、6GHzは最速だが近距離向け
✅改善方法:まずは無料でできる対策、それでもダメなら「中継機」か「有線LAN配線」

一言でいうと、「光回線が遅い」と感じたら、まず疑うべきは家の中のWi-Fi環境です。

こんな人におすすめの方/おすすめしない方

【おすすめの方】
⭕️ルーターから離れた部屋だけネットが遅い方
⭕️2階建て・3階建てで、上の階の通信が不安定な方
⭕️古民家や鉄筋コンクリートのマンションに住んでいる方
⭕️自宅の速度が「速いのか遅いのか」判断できない方

【おすすめしない方】
❌ルーターのすぐそばでも遅い方(回線やプロバイダ側の問題の可能性が高い)
❌マンションで「VDSL方式」(建物内は電話線を使って通信する方式)を使っている方(建物の設備が速度の上限になっているケースがあります)

まずは原因を切り分けよう

光回線が遅いと感じたら、最初にやってほしいのが「ルーターのすぐそばで速度を測る」ことです。
これだけで原因の見当がつきます。

ルーターのそばの速度遠い部屋の速度考えられる原因
速い遅い家の中のWi-Fi環境(距離・壁・周波数)→ この記事で解決できます
遅い遅い回線・プロバイダの混雑、ルーターの性能不足など

この記事では、主に「ルーターのそばは速いのに、離れると遅い」ケースを解説していきます!

Wi-Fiの「距離」とは?

「距離で速度が落ちる」と言っても、実は2つの意味があります。

1つ目は、通信局舎から自宅までの光ファイバーの距離です。光の信号はとても弱まりにくいため、一般的な住宅の範囲であれば、局から遠いことが原因で速度が大きく落ちることはほぼありません。

2つ目は、家の中でWi-Fiルーターからスマホやパソコンまでの距離です。こちらが速度低下の本当の原因になることがほとんどです。Wi-Fiの電波は距離が離れるほど弱くなり、壁や床を通るたびにさらに弱くなります。

通信工事士メモ:現場で「光回線のWi-Fiが遅いから乗り換えたい」と相談されても、実際にルーターのそばで測ってみると、十分な速度が出ていることがよくあります。※乗り換えを考える前に、まずは速度測定がおすすめ!測定が難しい方は、契約している光回線会社へ依頼することも検討してみると良いと思います!

住宅の構造によるWi-Fiの届きやすさ

Wi-Fiの電波は、家の材質によって通りやすさが大きく変わります。

住宅の構造電波の通りやすさ特徴
木造(戸建てに多い)◎ 比較的通りやすい2階まではルーター1台で届くことも多い。ただし3階建てや家の端は弱くなりがち
土壁の家△ 通りにくい壁が厚く湿気を含みやすいため、同じ木造でも電波が弱まりやすい
軽量鉄骨・鉄骨造○〜△普通骨組みの金属や断熱材(アルミ箔付きのもの)で電波が弱まることがある
鉄筋コンクリート(RC)△〜× 通りにくいマンションに多い。壁1枚でも大きく弱まり、隣の部屋で急に遅くなることもあり

土壁の家は特に注意

土壁は土と竹などで作られた厚い壁で、一般的な石膏ボードの壁に比べて電波を通しにくい性質があります。さらに、外壁が「ラスモルタル」(金属の網の上にモルタルを塗った壁)になっている家は、その金網が電波を遮るため、離れや庭への電波は特に届きにくくなります。

古い家は部屋ごとに壁で区切られた間取りが多いこともあり、ルーター1台で家全体をカバーするのは難しいと考えておきましょう。

通信工事士メモ:土壁の家では、ふすまや戸を開けるだけで速度が変わることもあります。
※土壁の家は、有線LANや中継機やメッシュWi-Fiがおすすめ!インターネットを使う部屋が1部屋だけであれば、その部屋へ光配線工事をすることをお勧めします。但し、固定電話やドアフォンやビジネスフォンを利用されたい方・利用中の方については、電話配線が絡んでくる場合もあるので、工事前に事前調査を依頼することをお勧めにます。

構造以外にも電波を弱めるもの

  • 水回り:お風呂・キッチン・水槽など。水は電波を吸収しやすい
  • 金属製の家具や家電:冷蔵庫、スチール棚、テレビの裏など
  • 床(上下の階):横方向より、縦方向の移動のほうが電波は弱まりやすい

Wi-Fiの周波数(2.4GHz・5GHz・6GHz)の違い

Wi-Fiには主に3つの周波数(電波の種類)があり、それぞれ「届きやすさ」と「速さ」に特徴があります。スマホのWi-Fi一覧で、同じルーターの名前が末尾だけ違って複数表示されるのはこのためです(例:「-2G」「-5G」「-6G」など)。

周波数届きやすさ速さ混雑しにくさ向いている場所
2.4GHz◎ 壁・床にかなり強い△ 遅い× 混雑しやすいルーターから遠い部屋、壁が多い家
5GHz○ 壁に強い◎ 早い○ 混雑しにくいルーターと同じ部屋〜隣の部屋
6GHz△ 壁に弱い◎ 早い◎ ほぼ混雑なしルーターと同じ部屋

2.4GHz|遠くまで届くが、混雑しやすい

壁や床を回り込んで遠くまで届きやすいのが特徴です。一方で、電子レンジやBluetooth(ワイヤレスイヤホンなどの通信)、近所のWi-Fiなど同じ電波を使う機器が多く、混雑して速度が不安定になりやすいのが弱点です。

5GHz|速くて安定、ただし壁にはやや弱い

2.4GHzより速く、電子レンジなどの影響も受けにくいため、普段使いのメインにおすすめです。ただし壁や床には弱く、ルーターから離れた部屋では急に遅くなることがあります。また、気象レーダーなどとの干渉を避けるため、使うチャンネルによっては一時的に通信が途切れることがあります。

6GHz|最新で最速、ただし対応機器が必要

「Wi-Fi 6E」「Wi-Fi 7」という新しい規格で使える電波です。使っている機器がまだ少ないためほとんど混雑せず、とても高速です。ただし壁を通りにくく、ルーターと同じ部屋で使うのが基本です。さらに、ルーターとスマホ・パソコンの両方が6GHzに対応している必要があります。

通信工事士メモ:ルーターの近くでは5GHz(対応していれば6GHz)、遠い部屋でつながりにくいときは2.4GHzに切り替えてみてください。※設定を変えるだけなので、まず試してほしい方法です!ルーターによっては、自動切り替えが可能な商品もあるので、購入予定の方は確認してみて下さい。(2.4GHz・5GHz・6GHzを最善な回線に自動で切り替えてくれる)

正しい速度の測定方法

速度を正しく判断するには、測り方が大切です。以下の手順で測定しましょう。

測定中は、動画のダウンロードやアプリの更新など、他の機器の通信をなるべく止めておくのがポイントです。

個人的におすすめの測定サイト「Fast.com」

速度測定には Fast.com(Netflixが提供している速度測定サイト)がおすすめです。

  • サイトを開くだけで、自動で測定が始まる
  • 広告がなく、画面がシンプルで見やすい
  • 「詳細を表示」を押すと、上り速度(アップロード)やレイテンシ(反応の速さ)も確認できる

スマホでもパソコンでも使えるので、部屋ごとの比較にぴったりです。

測定値の良し悪しの目安

使い方下り速度の目安快適さ
メール・SNS・Web閲覧10Mbps以上ほぼストレスなし
HD動画(YouTubeなど)10〜30Mbps以上止まらず見られる
4K動画30Mbps以上安定して再生できる
ビデオ会議・在宅勤務30Mbps以上+上りも10Mbps以上映像・音声が安定
オンラインゲーム50Mbps以上+Ping 30ms以下ラグ(遅延)が少なく快適

※目安であり、サービスや使い方によって必要な速度は変わります。

例題|木造2階建てのAさん宅の場合

Aさん宅(木造2階建て・ルーターは1階リビング)で測定した結果がこちらです。

測定場所周波数下り速度判定
1階リビング(ルーターのそば)5GHz450Mbps◎ 回線は問題なし
1階キッチン奥5GHz180Mbps◎ 十分快適
2階寝室(ルーターの真上あたり)5GHz80Mbps○ 動画も快適
2階子ども部屋(家の反対側)5GHz12Mbps△ ゲームや4Kは厳しい
2階子ども部屋(家の反対側)2.4GHzに切替35Mbps○ 動画は快適に

ルーターのそばで450Mbps出ているので、光回線そのものは正常です。問題は2階の子ども部屋だけで、原因は「距離+床+壁」による電波の弱まりです。

2.4GHzに切り替えると35Mbpsまで改善しましたが、オンラインゲームをするにはまだ物足りません。この場合、回線の乗り換えは必要なく、2階のWi-Fi環境を整えれば解決できるケースです。

逆に、ルーターのそばでも数十Mbpsしか出ない場合は、プロバイダの混雑やルーターの性能不足など、家の中の距離とは別の原因を疑いましょう。

まずは無料でできる改善方法

機器を買う前に、次の3つを試してみてください。

それでも遅いときの改善方法

Wi-Fi中継機・メッシュWi-Fiを設置する

ルーターと遠い部屋の間に中継機(Wi-Fiの電波を受け取って、さらに遠くへ飛ばす機械)を置く方法です。

有線LANで配線する

ルーターから遠い部屋まで、LANケーブルを引く方法です。

通信工事士メモ:新築やリフォームの予定がある方は、そのタイミングで壁の中にLAN配線を通しておくのがベストです。※後からだと費用も手間もかかるので、早めの相談がおすすめ!
LAN配線をしたくない方については、各部屋に配管を設置しておくことを強くお勧めします。

こんな方はおすすめ
手軽に済ませたい・動画やSNSが中心中継機(メッシュWi-Fi)
ゲーム・在宅勤務で安定性重視有線LAN
土壁・鉄筋コンクリートなど電波が通りにくい家有線LAN、またはメッシュWi-Fi

中継機と有線LAN配線については、それぞれ別の記事で詳しく解説しています。

よくある質問

Q. 光回線の局から家が遠いと遅くなりますか?
A. 一般的な住宅の範囲であれば、局からの距離で速度が大きく落ちることはほぼありません。遅いと感じる場合は、まず家の中のWi-Fi環境を確認しましょう。

Q. ルーターから何mくらいまでなら快適に使えますか?
A. 家の構造や障害物によって大きく変わるため、一概には言えません。同じ距離でも、間に壁や床があるかどうかで結果が変わります。実際に測定して判断するのが一番確実です。

Q. 2.4GHzと5GHz、結局どっちにつなげばいいですか?
A. 基本は5GHzがおすすめです。ルーターから遠くて5GHzが不安定な部屋だけ、2.4GHzに切り替えてみてください。

Q. 中継機を置いたのに速くなりません。
A. 中継機の置き場所がルーターから遠すぎる可能性があります。ルーターと遅い部屋の「ちょうど中間」で、まだ電波がしっかり届いている場所に置くのがコツです。

まとめ

✅光ファイバー自体は、距離による速度低下がほとんどない
✅速度が落ちる主な原因は、家の中のWi-Fiの距離と壁・床
✅木造は電波が届きやすく、土壁・鉄骨・鉄筋コンクリートは届きにくい
✅近くは5GHz(6GHz)、遠くは2.4GHzが基本の使い分け
✅Fast.comで、ルーターのそばと各部屋を測って比べるのが第一歩

シャチまるから一言

現場では「光回線が遅いから解約したい」という声をよく聞きますが、実際には家の中のWi-Fi環境を整えるだけで解決するケースがとても多いです。回線の乗り換えは手間も費用もかかるので、まずはルーターのそばと遅い部屋で速度を測ってみてください。原因が分かれば、対策はきっと見つかります。

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